海キャン


■ 1995 Aug. 下旬

 夏休みも終わり、子供たちに海を見せたくてこのキャンプ場にした。北海道の海水浴場はお盆を過ぎればほとんど人はいない。日差しも弱くなり、海水温度も下がるからだ。山に行けばトンボも舞いはじめる頃だ。

 このキャンプ場は積丹半島の先端にある海水浴場だ。しかし、ある程度のキャンプ基地でもある。
『高校生の頃、自転車でキャンプした思い出のある場所だ。そのときは突然の豪雨であっという間に三角テントは水浸しとなった。友人と私の二人は日ごろのクラブで鍛えた体力が充実していたこともあり、特に気にすることもなく陽気に歌を歌っていた。その後、昼間の疲れでそのまま寝てしまったものだ。翌日、近くの港から漁船で積丹の西海岸へ渡ったのだ。』

 現地へつくと、トイレが立派になったことを除けば、当時とほとんど変わっていなかった。先客は10張り程度だ。駐車場からすぐ近くの砂地の場所に設営することとした。下地は柔らかいので、ペグも気持ち程度でテントの中に荷物を入れて安定化した。風が強いのでタープも張るのをやめて、椅子付のファミリーテーブルにパラソルだけとした。 子供は早速隣の砂浜で砂遊びだ。今日は公園と違って全身砂まみれになっても、親たちは平静だ。

 夕方となった。今日の献立は焼き鳥だ。風が強いので、こういう時は手にもって食べる料理のほうが具合がいい。これがカレーとかでちょっと砂が飛んできたら、もう台無しなのは容易に想像できる。テントの風下でくつろいでいたが、それでも風が気になるので、反対側にも車を近づけて風の通りを弱くした。
 夜になりテントに入り、波の音を聞きながら熟睡した。あー最高!

 翌日も天気は上々。昨日近づけた車を駐車場に戻そうとしたら、んんっ!固い砂場だから大丈夫と思っていたが、FF車には無理だったようだ。みるみる沈んでゆく。余計な仕事を増やしてしまったという後悔と果たして脱出できるんかいな?という不安で心と体はまさに真夏に逆戻り!
 幸い、早い時間だったので周りの人がみかねて車を押してくれて何とか脱出することができた。
また、この地に思い出を作ってしまったようである。